グリンブログ

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『左手のための二重奏』 誰かの夢の為の繋がり

松岡健太先生が「少年マガジンエッジ」(講談社)で連載中である『左手のための二重奏』。
この作品はピアニストを題材としており、ピアノに触れたことも無い不良男子の成長物語である。
そのため専門的な知識が物語に多く登場することもなく、音楽やピアノに詳しくない人でも十分にのめり込める作品となっている。(作曲家や曲名などは専門的とは言わないまでもたびたび登場する。)

 

・あらすじ

人生に希望を見出せない町一番の不良少年「的場周介」(まとばしゅうすけ)は、同じ中学校に通う天才ピアニスト・「弓月灯」(ゆづきあかり)に出会う。"天使の左手"と呼ばれている灯は、周介とひょんなことから話す機会が出来る。
家までの帰り道を一緒に帰る事になった周介は、灯のピアノに対する熱い想い聞くことで、少しずつ灯への価値観が変わっていく周介。

しかしその直後、二人は交通事故に遭い周介は左手が動かなくなり、灯は帰らぬ人になってしまう。。。
周介は罪悪感に苛まれ、『償うってなんだ?』っと灯の後を追って屋上から飛び降りようとした時、なんとそれを止めたのは周介の左手に宿った灯であった。
再び灯と関わり、灯の夢の為に周介はピアニストの道に進み始める。「素人の右手・天才の左手」という奇妙なコンビが頂点を目指す!

・左手のための二重奏

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松岡健太/左手のための二重奏


タイトルであるこの言葉が全てが物語っている。左手に灯が宿ったことで、周介は灯の夢の為にピアニストを目指す。
世界中を笑顔にすること」これが灯の夢であった。
周介は灯の父、弓月御影に直接謝罪に行くが、御影はピアノを辞める。
そしてすべてを忘れよう。と周介に伝えるが、灯はそれを否定し、周介の左手を使い、「私はここにいるよ」と訴えるかの如く、御影と一緒にピアノを弾くのだ。
周介はここでピアノの素晴らしさに触れた。そしてこう思う。「ピアノを弾こう」
灯の夢を手伝うために、周介は御影にピアノの教えを欲しいと頼むのであった。
ここから二人のピアニストとしての物語が幕を開ける。

・仲間と共に夢へと向かう姿

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松岡健太/左手のための二重奏

ピアニストにはライバルと言う名の仲間が必要であり、本作も登場する。
その中でも重要な人物は、灯の親友でありライバルであった久遠音理(くおんねり)である。彼女は灯を奪った周介を恨んでいる。
灯を失った音理は暗い闇の中へと落ち込んでしまっていた。さあここで救えるのは誰だ。
灯と周介の音しかないのだ。周介は短期間でピアノを練習し、音理の出場するコンクールに出ることを決める。

灯のくれた手で弾く二重奏は音理に大切な事を教えてくれた。「灯には笑顔でピアノに向き合えばいつでも会いに行ける」と。
喜怒哀楽全ての感情が圧倒的画力で描かれ、皆が一歩前に進んでいる描写が素晴らしいです。

・手伝う夢から周介の夢に

当初は灯の夢を手伝うために始めたピアノだったが、次第に周介自身の夢にもなっていく。ライバルや仲間たちの影響で、周介自身が動かされていったのだ。
「人の繋がり」によって成長していく二人の姿には微笑ましくも涙を浮かべてしまった。

物語は日本一を目指す高校生編へと移っていくが、はたしてこの二重奏は世界中の人を笑顔にすることが出来るのだろうか?

彼らの二重奏がまだ見ぬ世界へ連れて行ってくれることを楽しみにしている。

松岡健太先生のあとがきに、この作品は「人の繋がり」をテーマに描いているとある。
それこそがこの作品の醍醐味であると思う。
これからさらに成長する姿を見るたびに、それぞれの繋がりが背景にはあるのだろうと感じております。

 


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