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悲しみのその先に。『アスミカケル』はなぜ淘汰されたのか。

こんにちは。

 

今回は2月13日発売の週刊少年ジャンプ11号で打ち切りとなってしまった作品

『アスミカケル』を紹介したいと思います。

 

なぜ打ち切りになってしまったのか考えていきたいです。

 

 

・あらすじ

火ノ丸相撲」の川田先生がジャンプの舞台に堂々帰還!

祖父の介護を手伝いながら冴えない高校生活を送る少年・二兎。
だが、女子プロ選手を目指す先輩・奈央の導きで総合格闘技(MMA)と出会ったことから、彼の日常は一変していく...!?
戦わずにはいられない――全力本格MMAストーリー、ここに開幕!! 

*1

 

第22話で前作の登場人物である國崎千比路と國崎の娘であるOKOMEが登場するため、『火ノ丸相撲』と世界観を共有しており、國崎父娘の年齢から『火ノ丸相撲』の約15年後の時代と思われる。

またヒロイン等の女子格闘家の活躍も描かれ、前作との差別化がされている。

 

 

・『アスミカケル』の面白かった所

まず何といっても少年ジャンプで総合格闘技(以後MMA漫画が読めたこと。そして何より、『火ノ丸相撲』の作者が描いていたことである。

火ノ丸相撲』で描かれていた、迫力ある試合の場面などが思い出され、『アスミカケル』でもしっかりと描かれていた。

 

また格闘技・格闘家になることに対する、葛藤があるものの、ファイターになる姿はカッコイイ。

 

 

・なぜ打ち切りに

これは自分なりに考えてみた。

スポーツ系、さらにマニアックであるジャンルでは、やはり少年誌での連載は厳しかったのだと思う。

これは偏見であるが、15年以上ジャンプを購読しているが、今の読者層が読めなかった。なんなら自分と同じように年齢層が上がっていたんじゃないかとまで感じていたが、それは違ったようだ。

腐ってもこれは少年誌であり、若い子が読んでいる。

そうなると地味な技の攻防などでは勝ち残れないのだろう。

その点では、青年誌のヤンジャンやプレイボーイであれば少しは結果が変わったかもしれない。

 

他にもあるが、先ほど言った地味な技の攻防。主人公がグラップラー(寝技)が得意なキャラだが、必殺技(かっこいいオリジナルな技名)があったりしたら良かったし、「アンダーグラウンドエンペラー」や「美しきドブネズミ」などの通称があっても良かった。

 

もっと根本的なことになると、女子の試合のシーンを描く余裕はなかった。どうしても國崎の娘との因縁のため、そして前作のキャラを登場させようとするのはいいが

國崎と二兎が戦う未来は想像できなかったし、二兎VS一狼が最終地点なのだからあまり必要を感じない。

しかし最終目標の一狼もキャラがブレブレで、本当は弟思いのいい奴が序盤で露呈したところで、兄弟の試合にあまりのれなくなったのもある。

 

他にも、もっと一試合をゆっくり描いてほしかったな。飛び膝からの組での一本など

展開はいいものの、簡単に極まりすぎ。もっと攻防が見たかった。

フキダマリという地下格闘技に出場はいいが、さすがに相手が素人すぎる。

勝つのが分かり切ってるし、ライバル展開も欲しかった。(太賀では厳しい)

 

あとはジムでの練習パートナーでもう少し個性的な選手がいたらなと。

奈央ちゃんでは厳しいね。

 

最後に元も子もない事を言うが、主人公を奈央にすればよかった気もしてしまう。

女子総合格闘技の漫画は少ないが、川田先生の描く女性キャラは可愛い子も多いし人気も出た気がする。

もっと言えば、OKOMEとの因縁、決着というラストに話が繋がりやすいし

それなら國崎を登場させるメリットもあったと思う。

 

・おわりに

長々と書いてしまったが、僕は『アスミカケル』が好きでした。

長く続いてほしかったからこそ書いているが、僕の中では、最近のジャンプで1番面白かった。もっと言えば、二兎がアニメで動いている姿まで想像できたし、アニメ化したら全世代に受け入れられたと思っている。

それだけのポテンシャルを秘めた作品であった。

 

悔しいがここで終わります。

 

 

『アスミカケル』試し読みはこちらから

 

*1:『アスミカケル』|集英社週刊少年ジャンプ』公式サイト